海外駐在はよく「人生のボーナスタイム」などと言われます。
ではでは、いったいどれだけ給料をもらえるの?手当は?税金は?貯金は?
…今回は東南アジアに赴任している現役駐在員の私の給与実例とともにお伝えしましょう。
結論
駐在員の年収は、日本にいるときの「額面約1.5倍」「手取り約1.7~1.8倍」が狙えます。
なぜそんなに増えるのか?
手取りが倍近くに増えるなんて、さすが海外駐在が人生のボーナスタイム!
例えば、日本で「年収800万円」の人が海外赴任したら、額面は1.5倍の「年収1,200万円」くらいです。
一方、年収800万円の手取りは約590万円ですので、こちらは約1.7倍となり「手取り約1,000万円」くらいになります。
このように海外駐在員の場合「額面」「手取り」共に大きく上がりますが、特に「手取り」が増える構造であることが特徴です。
これだけ収入が増える主な理由は大きく2つあります。
- 現地に支払う税金を企業が負担することが多い
- 手厚い手当・福利厚生
では、次にこれらの2点について具体的に解説します。
現地に支払う税金を企業が負担
日本には日本の、海外にはその国ごとの税制があります。
そのため、海外駐在員は所得税や住民税など日本国内での税金の支払いがなくなります。その代わり、海外の税制に基づき税金を納めることとなりますが、企業が税金一部を負担してくれるケースが多いです。
つまり…
手取りが増加 ← 日本国内での税金支払い減少 + 企業による現地の税金支払いサポート
という構造になります。
※所得税:
1年以上海外に駐在する場合は日本の「非居住者」となり、海外勤務で得た給与に対して所得税は課税されません。一方、海外駐在期間が1年未満である場合は、引き続き日本に所得税を納める必要があります。
※住民税:
海外駐在員の住民税は、その年の1月1日現在に海外転出手続きがとられているかどうかで課税が決まります。例えば、年末の時期に海外駐在が決まった場合、年内に出国して転出届を出していれば、出国した年の所得にかかる住民税(=翌年1月1日以降に支払う住民税)を納める必要がなくなります。
手厚い手当・福利厚生
日本と異なる現地でのストレスフルな生活をこなすために、海外駐在員には基本給の他にも企業からさまざまな手当を受けることができます。その分年収も増加することになるわけですが、ではどのような手当が存在するのでしょうか?
海外勤務手当
海外で働くことへ対する、企業から支払われるインセンティブです。
金額:基本給の20%~50%程度
※基本給に一定割合をかけ、さらに物価などを踏まえて決定されるケースが多いです。
ハードシップ手当(危険地域手当)
日本と比較して、治安や衛生面、生活インフラにおいて不安のある地域に赴任する場合に支払われる手当です。国・地域によって支払われる金額が変動します。
金額:数十万円~150万円/年
家族帯同手当 or 単身赴任手当
家族と現地で暮らす場合、または単身で現地へ赴任する場合の家族へ対する手当です。
金額:数十万円/年
住宅手当
現地で居住する家の家賃に対する手当です。基本的に、駐在員が安全・ストレスなく住むことができる住居を選択でき、例えば東南アジアなどの国・地域などでは家賃が数十万円もする超一流ホテルブランドの居住用設備の整った部屋や、プール付きの高級一軒家などの豪邸に住めるケースもあります。
金額:家賃の80~90%程度(企業によっては全額会社負担)
子女教育手当
一緒に帯同してきた子供が日本人学校やインターナショナルスクールへ通うための手当です。海外は日本人学校の場合学費が月数万円。インターナショナルスクールになると月十万円以上の学費がかかります。インターナショナルスクールを選択した場合は全額補助とはいかないかもしれませんが、かなり負担を軽減してくれることでしょう。
金額:最大100万円程度/年
海外赴任者向け保険
海外赴任者が病気やケガをした際は現地の医療機関にかかる必要がありますが、日本の社会保険は使えません。その代わり、企業は海外赴任者向けの保険を契約しており、医療費は基本的に会社負担となるケースが多いです。
金額:全額会社負担
その他手当
そのほかにも、一時帰国時の費用、家庭車(地域によってはドライバー込み)の費用、お手伝いさんの費用、語学習得にかかる費用など多くの手当が存在します。
以上から、海外勤務手当やハードシップ手当だけでも年収が数百万円のプラスになることが感じてもらえたかと思います。なお、ハードシップなどは国・地域によって異なるため、次にこれら地域性の違いについて説明しましょう。
国・地域による違い
ここまで税金や手当の話をしてきましたが、実際には企業、国・地域によって差がでます。(とはいえ、日本国内勤務と比べたら給与は増えます。)
例えば、治安、衛生面、インフラ、気候など生活面が厳しい東南アジア・アフリカ・インドなど発展途上国はハードシップが高くなる傾向があります。逆に、アメリカ、ヨーロッパ、シンガポール、香港などの先進国は物価が高く、その分海外赴任手当のインセンティブ増額が考慮されることになります。
前者の発展途上国の場合、給与が上がりつつも生活にかかる費用は少なくてすむため、多少生活水準を上げても手元にお金を残しやすくなります。後者の物価の高い先進国の場合、物価に合わせた給与の調整があっても、生活水準は上げにくいというジレンマがあります。
筆者も東南アジアに勤務する駐在員ですが、もしも皆さんが駐在国・地域を選べるのであれば、オススメは日本人が暮らしやすく、比較的安心な環境で裕福な暮らしをしつつ貯金をふやせる東南アジアの駐在員です。
筆者の給与
最後に、現在東南アジアで駐在員をしている筆者の給与を、国内勤務時と比較してざっくりと紹介します。
日本国内勤務時(年間)
・給与:800万円=基本給+時間外手当+住宅手当+ボーナス
・控除:220万円=健康保険+厚生年金+雇用保険+所得税+住民税
⇒手取:580万円
駐在後(年間)
・給与:1,200万円 (国内勤務時比1.5倍) = 基本給 + ハードシップ手当 + 単身赴任手当 + ボーナス
・控除:130万円 = 健康保険 + 厚生年金 + 雇用保険 + (家賃 – 住宅手当)
⇒手取:1,070万円(国内勤務時比1.84倍)
日本国内勤務時は、この手取り金額からローンや光熱費の支払いをしていましたので、それを踏まえると日本で自由に使えた金額は400万円ほどでした。駐在後の手取り1,070万円はここから家賃を支払う必要のない金額ですので、それを踏まえると自由に使えるお金は日本勤務時の2倍以上となります。
筆者の場合、日本国内勤務時の貯金ペースは年間150万円程度でした(家賃・光熱費を除き年間約250万円の生活費)。海外駐在をした後は、物価の低い東南アジアで日本と同程度の生活費を使って少し贅沢に暮らしていますが、給与収入だけでも年間700万円近くの貯金ができる状態です。加えて、日本で住んでいた持ち家の家賃収入(ローン支払い差し引き済)、およびこの貯金を使った投資によって、年間約1,000万円の資産増加ができています。
※駐在時の持ち家貸出による家賃収入や、資産運用については別途記事を作成します。
まとめ
海外駐在員は日本で暮らしていた時と比べ、年収1.5倍、手取り1.7倍~1.8倍、そして大幅な貯金ペースの増加が見込めます。
皆さんも、駐在員生活をうまく活用し、自身の経験値を上げつつ、海外生活を楽しみながら資産形成をしていきましょう。
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